クーリーフ(COOLIEF)
変形性膝関節症に対する新しい保険適応治療
クーリーフ ― 保険で受けられる、効果的な新しい痛み治療
「手術は避けたい」「けれど痛みを我慢するのも限界」という方に向けた新しい選択肢が、保険適用で受けられる末梢神経ラジオ波熱凝固療法「クーリーフ」です。
神経を破壊せず、痛みの伝達だけを緩やかに抑えるこの治療は、全国でも実施可能な施設が限られた先進的アプローチです。
城整形外科では、院長が責任を持って丁寧に対応します。
2023年6月に健康保険が適用となった新しい治療で、限られた医療機関でのみ行われています。当院では現在、火曜と水曜の午後に日帰りで行っています。
治療の対象となる方は変形性膝関節症で、ヒアルロン酸の注射などの保存的治療で効果が乏しい方です。
クーリーフはなぜ効果があるのか
膝の痛みを伝える神経をラジオ波で熱凝固します。
クーリーフ(末梢神経ラジオ波凝固療法)は膝関節の「上内側神経」「上外側膝神経」「下内側膝神経」の3つの神経をエコーで特定し、局所麻酔下に、痛みを伝える神経をラジオ波による熱で熱凝固します。
針には特殊な工夫がされ、ラジオ波による熱を絶妙に温度変化させながら熱凝固します。完全に熱凝固させるわけでなく、再生可能なレベルで神経を処置できるのがクーリーフ(末梢神経ラジオ波熱凝固療法)最大の特長です。
テストブロックで事前に効果を確認、クーリーフ後は年単位痛み軽減が持続
1度の治療で、2年にわたり痛みを半減させたという論文があります。
海外の試験で治療効果が多数報告されています。Coreyらは、膝の痛みが10点満点で平均6.6点だった患者様にクーリーフ(末梢神経ラジオ波焼灼療法)を行い、1か月後には平均2.6点、1年後に3.0点、2年後に3.6点だったとの報告を行っています。一度の治療で2年に渡り痛みを軽減できる可能性が示されています。
クーリーフは、1年の間隔を設ければ、保険診療として繰り返し実施することができます。
合併症について
重篤な合併症は報告されていません。局所麻酔によるアレルギーや局所麻酔薬中毒・やけど・出血が生じる可能性がありますが、いずれも対処可能です。
効果に個人差があり、メリットには幅があると言えます。合併症として、一般的な注射と同様のリスク+やけどのリスクがありますが、人工関節手術などに比べると、デメリットは少ないと言えるでしょう。
治療の流れ
1.「変形性膝関節症」の診断
- 問診:痛みの場所や程度、どのような動作で痛むのかを確認します。
- レントゲン検査:膝の関節のすき間の狭まりや、骨の変形をチェックします。
- 超音波検査:関節に水が溜まっていないか、炎症や骨棘の有無を確認します。
まずは、ヒアルロン酸注射やリハビリ、投薬への反応を確認します。
2.クーリーフ(末梢神経ラジオ波熱凝固療法)の適応を判断
既存の治療で効果が乏しい場合に、クーリーフの治療を行う場所に局所麻酔薬を注射します(テストブロック)。
注射前より、注射後の痛みが半分以下に改善した場合は、クーリーフ(末梢神経ラジオ波焼灼療法)の対象としています。
テストブロックの効果は数時間から1日程度です。
3.クーリーフ(末梢神経ラジオ波熱凝固療法)の説明
治療の様子や当日の注意点などについて説明します。ご不明の点がございましたら、遠慮なくご質問ください。
4.ご予約
当科は順番待ち制のクリニックですが、クーリーフ(末梢神経ラジオ波熱凝固療法)のご予約をお取りします(2025年9月現在、火曜午後・水曜午後)。
ご高齢の場合、治療日にご家族の付き添いをお願いすることがあります。
治療当日
ベッドに仰向けになり、足を消毒後以下のような治療を行います。
ご予約時間から、全工程で2時間以内にはご帰宅いただけます。
1.局所麻酔
治療部位に局所麻酔の注射を行います。
2.電極針の挿入
超音波検査機器(エコー)を使いながら、治療部位に正確に針を挿入します。
3.ラジオ波照射
ラジオ波を2分半流し、痛みを伝える神経を治療します。
1~3の処置を3か所に繰り返します。
4.院内待機
休憩室でしばらく待機していただきます。院長が定期的に状態を確認にまいります。問題がなければ歩いて、お車でお越しの場合は運転してご帰宅いただきます。
治療後の注意事項
局所麻酔を使用しているため、1時間程度はふらつきによる転倒や気分不良が生じる可能性があります。できるだけご家族と一緒に行動をお願いし、帰宅後は安静をお願いします。
膝に貼ったテープは12時間後に外し、以降入浴可能です。施術部の皮下出血を避けるため、刺入部を1週間は温めない、刺激をしないようにしてください(長湯をしない、こたつやストーブで温めない、マッサージをしない)。
治療後数時間から数日の間、一時的に刺入部や治療部位の痛みが生じることがあります。その際はいつでもご連絡、お越しください。
